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2026-07-07

【レポート】2026年度定期総会&第5回マツ剪定講習会

2026年5月30日に、浜離宮恩賜庭園の芳梅亭にて日本庭園協会東京都支部の定期総会を開催しました。
総会の議題は無事に承認されました。今年度の企画に期待が膨らみます。どうぞお楽しみに!


さて、今回の総会は都支部の恒例企画であるマツ剪定講習会を抱き合わせた特別編。30日の芳梅亭での総会の後に武田潔先生のマツの座学、そして浜離宮内のマツの見学を行い、翌31日にマツ剪定講習会の会場としていつもお世話になっている長勝寺さんにて芽摘みの実践講習を行いました。


総会終了後に行ったマツ剪定講習会の座学と浜離宮のマツ見学には、役員含め20名程度の参加者が集まりました。

「松無古今色 竹有上下節」
(まつにここんのいろなし たけにじょうげのふしあり)

今回の武田先生の座学のテーマです。
みなさんはこの言葉ご存知でしたか? 古くから伝わる禅語で、掛け軸などでもお馴染みの言葉だそうです。
「松無古今色」は、マツが季節や時代の移ろいにかかわらず常に緑色を保つことから、物事の本質や真理が不変であることを表し、対句の「竹有上下節」は、自然の竹にも上下があるように人間社会にも礼節や秩序が必要であるという教えなのだそうです。


古から不変の象徴として尊ばれてきたマツに向き合うには、まずその長い時間と向き合う姿勢が肝要。
マツの手入れに向き合う時には、自分自身はその自然がつくり出してきた悠久の歴史と美の世界のほんの一部に参加させていただくような粛々とした態度で、作為に捉われず淡々と、マツへの仕事(お仕えする事)に身を任せる… (注:これは先生のお話に学んだ筆者の解釈です)


武田先生のお話は、単にマツの手入れの解説に留まらないロマンを感じさせます。
日本の天皇や武士たちがマツを愛してきた理由が感覚的にもよく分かった気がしました。

座学の後はいざ園内へ。
武田先生は実際に浜離宮のマツの手入れを手掛けていらっしゃいます。長年この庭園のマツをご存知の先生による解説は聞き応え抜群です。
園内に数多あるマツそれぞれの状態や形の意味、手入れのエピソードなどを聞きながら園内を巡ること1時間半。
好天にも恵まれ、時間はあっという間に過ぎました。

この日の最後は「三百年の松」の前で記念写真。
この三百年の松の手入れは、他のマツとは違って今も昔も浜離宮の専属の庭師さんが手がけておられます。武田先生も直接手入れ作業に携わったことはないそうですが、職員さんへアドバイスをしながら見守ってこられたそうです。
ただ、ここしばらく葉の色が冴えず樹勢が衰え気味に見えることを心配しておられました。

翌31日、マツ剪定講習会の2日目は、いつもお世話になっている長勝寺さんでマツの芽摘みの実習を行いました。
この講習会を始めたのは2024年の春の芽摘みからですので、今回で三年目に突入。
今回、その頃から続けて参加されている方も、今回が初めて参加の方もいらっしゃいました。
武田先生のご指導は、マツへの向き合い方の姿勢と作業要領について、それぞれの基本の「型」を教えてくださいます。それは何度習ってもそのたびに実践を通して気づきを与えてくれる、まるで武道の稽古のような感覚です。

武田先生のご指導と手元は、毎回GoProカメラを使って記録しています。
今後どのように活用できるかはまだ分かりませんが、こうして継承すべき庭師の技を記録していくことも日本庭園協会の重要な使命だと思います。

講習会で触らせていただいている長勝寺さんのマツは、登り込むほどの大きいものから背丈程度の小さいものまであり、継続的に参加している皆さんはそれぞれに担当したマツのその後の経過を見守っています。また、枝の棚ごとに手入れをしていくという先生のご指導の原則に従って、マツ一本一本だけでなく、一枝(棚)ごとの変化を確かめながら作業していきます。

参加者の皆さんの興味は先生の道具にまで及びます。
武田先生の剪定鋏は、ご自身の手の形に合わせて鍛冶屋さんに特注で制作していただいたものだそうです。それも、全く同じ形のものを三丁お持ちだそうで、その日の武田さんの調子や、メンテナンスに出した時などにあわせてローテーションしながら使っているそうです。
また、武田さんはご自身では全く鋏を研がず、定期的に鍛冶屋さんにメンテナンスに出すそうです。「餅は餅屋!」とのこと。長年お付き合いをしてきた鍛冶屋さんは、研ぐだけでなく軸棒も含めて武田さんにとって最も良いコンディションに整えてくれるそうです。プロ同士の素晴らしい関係ですよね!

下の写真は、この講習会を始めた一番最初の芽摘みの作業後(左)と、三年目を迎えた今回の芽摘みの作業後(右)を並べたものです。輪郭の大きさはほぼ変わりませんが、明らかに細かい枝が増えて、ふんわりとしたやわらかな木姿に変わってきています!
この「ふんわりやわらか」な自然体の木姿をつくっていくこと。これが目指すところです。
やわらかな枝先は風に揺れます。枝が風に揺れることで、マツは伸びなくなる(伸びられなくなる)のだそうです。美しい木姿で、手のかからない、理想的なマツです。
さて、ではどうやってそのような枝を作っていくのでしょうか?
これは是非受講して体得してください(^o^) 皆で一緒に学びましょう!

この講習会は、年に2回、冬(1月頃)と春(5月頃)に開催しています。
次回は冬に古葉の揉み上げと整姿剪定を学びます。お見逃しなく!

今回も講師の武田さんはじめ、場所をお借りしている長勝寺さん、ならびに長勝寺さんの境内を守られている(株)富士植木さん、皆様の寛大なご理解とご協力を賜り、このような講習会を開催することができました。この場を借りて御礼を申し上げます。

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