toggle

本講座について

連続交歓講座のテーマを≪人と自然を結ぶ文化の大地≫と定め、第1回では高野義武氏(NPO法人ふるさとの森づくり協会理事長)に『木を植えるのは何のため』と題し、「森づくり」と「庭づくり」~「木を植える」という共通言語を軸に《今⦆の植樹運動から、地球を取り巻く環境問題までを語っていただきました。

第2回は金田正夫氏(無垢里一級建築士事務所主宰)をお迎えし『地球環境に配慮した建築』と題し、「温故知新」エアコンがなかった時代の古民家から学び、エコロジーな現代の住まいとは何かを考えながら、自然の力を上手に利用し、季節を快適に過ごす《知恵の結晶》をデータに基づき、庭との関わりを深め科学的にわかりやすく紐解きました。

そして第3回目のテーマを『心の豊かさと幸福とは』に定め、パネルディスカッションを試みることにしました。パネラーにはアウトドアを通して「人と自然との関わり」から得られる幸福感を辰野 勇さんの観点で。藤森照信さんには「心豊かな暮らし」を建築家としての観点で。養老孟司さんには解剖学を基に人間論「幸福と感じる人生」を語っていただきながらコーディネーターの亀山 章さんに庭との接点を引き出していただきます。

そして、交歓講座の大きな目的でもあるパネラーと参加者のみなさまとの意見交換ができる場も予定しております。令和新時代を迎えた今、一つの節を刻む意味で現代を見つめ直し、人と庭の未来へつないでいきたいという思いが今回の企画です。

ごあいさつ

日本列島は、北から南までその土地の気候と風土に根差した豊かな地域文化を発展させてきました。庭もその例に洩れず地域文化と共に庭園文化を育んできました。日本庭園協会が平成時代に全国各地域へ支部を立ち上げてきたのもそのためです。1996年(平成8年)に東京都支部は誕生し、それ以来、首都東京に適う活動を続けてきました。

昨年、日本庭園協会が創立100周年を迎えることを機に、未来へ向けこの東京の庭の課題が何かと模索してきました。その一環として、見聞を広げるため業界外の識者をお迎えし開いたのが連続交歓講座です。日本の庭づくりの伝統を尊びながら深化させ、現代人に寄り添った新たな価値観による庭を創造して行きたいと考えました。

庭づくりの原点は「人と自然を結ぶこと」、目的は「人と自然が豊かになること」。この二大命題へ真正面から向かいながら参加者のみなさまと一緒に考えて行きたいと思います。 

日本庭園協会 東京都支部長
加藤 精一